シンビジューム／石田蘭園(高知県)

お父様の代から続く石田蘭園の2代目隆博さんは、小ぶりで可愛らしい「テーブルシンビ」が子どものころから大好きだったとか。
そのためご自身も生産者として始める際に、名脇役として存在感を出す「調和できる蘭」として、小輪で可愛らしいシンビジューム作りに特化しようと決意したそうです。

一言で小ぶりで可愛らしいといっても、その道のりは簡単ではありません。
丈夫で長持ちにするには、どうしても太く大きな形になってしまいます。
長年の研究の末、ご自宅でも扱いやすい細くしなやかなシンビジュームが出来上がったのです。

現在では新品種が出来るたびに必ず女性スタッフに意見をもらい、より「かわいい」をとことん追求したシンビジューム作りにこだわっています。

生産している品種の90％がオリジナルというほど、品種改良にも力を入れている石田蘭園。
異例ともいえる毎年200もの交配を行い、新しい品種の開発にも精力的に取り組まれています。

交配した200から約3000個体の実生が得られ、その中で品種として世に出るのはたったの2～3品種。
また、実際に販売に至るまで最短で約8年ほどの歳月がかかるそうです。

果てしなく膨大で手間のかかる育種ですが、それでも研究熱心な隆博さんはより良い品種作りのため、全国各地へ積極的に出向き、得た情報を余すことなく育種・生産に活かしています。

学生時代からほぼ独学でシンビジュームの研究をされていた隆博さん。
約60種類ある原種の成り立ちを一から勉強し、その特徴を最大限活かせるよう日々試行錯誤されています。
今後は日常に寄り添う、香りが特徴的なものや繰り返し花が楽しめるシンビジュームを開発していきたいと、生き生きとした表情でお話されていました。

寒さに強く、丈夫で生命力に溢れたシンビジュームは冬の時期にぴったり。
水やりは3～4日に1回で十分という育てやすさも魅力です。
その場を明るく優しい空気で包んでくれる、可憐な花をぜひお楽しみください。